極小の素粒子・原子核から生命や地球を含むマクロ物質、そして極大の宇宙など多階層から成り立っている自然界のどの階層の物理を論じる際にも重要な要素、それは「光」です。光を自由に操ることができるようになったのは、20世紀最大の発明の一つと言われる「レーザー」が出現した時からであり、それまで観測という比較的受身の対象でしかなかった光をレーザーにより能動的に制御・利用することができるようになりました。レーザーが光科学を開花させたといえます。レーザー誕生50年を経た現在、レーザーは科学のみならず産業界、医用など日常生活に密着した応用にまで広く普及しており、レーザー技術・応用は未だにさらなる進化・発展の途にあります。これからの可能性や夢に思いを馳せますと、「開花した」ではなくまだ「つぼみ」かもしれません。このレーザーの世界初の発振の出現の僅か13年後に早くも我が国にレーザーと関連科学・技術の学界・産業界での発展を支援する学会「レーザー学会」が発足されました。

　レーザー学会は大阪の地から1973年に発足して以来、今日までに東北・北海道、東京、中部、中国・四国、九州の支部が組織され、各支部独自の特徴的な活動が行われています。しかしながら、大阪に学会事務本部が置かれていることから関西圏には支部は組織されておらず、全会員のほぼ３分の１の関西圏の会員には、各支部が積極的に取り組んでいますような地域に密着した事業を提供できておりませんでした。このような状況を鑑み、レーザー誕生50年事業の一つとして関西圏の支部発足が学会運営審議会にて議論され、理事会の承認を経まして、平成２３年１１月１６日に発足いたしました。27名の委員からなります関西支部運営委員会が組織され支部活動を実施することになりました。

　学会発足以来40年近くになろうとしている現在、レーザーの汎用性は高まり、おそらくレーザー学会会員数の100倍以上の人がレーザーを利用しているでしょう。また、レーザーの普及とともに学会を取り巻く環境も変化し、多くの関連する学会との有機的な連携も求められます。学会としましてはこのような情勢の変化を常に把握して学会の事業を計画することは重要ですが、学会員一人一人の期待されることが学会に求められるニーズになります。そして、会員と学会との距離を短縮することが支部の重要な役目の一つです。単に物理的な距離が近いだけではなく、密度の高い議論のできる小研究会、討論会、若手講演会、立寄見学会、草の根的共同研究などを会員自身が気安く企画・提案・実行できる環境を提供できるのが支部であると考えております。今後、このような事業を広く応募し、開催などの案内は会誌「レーザー研究」やホームページを通じて行ってまいりますので、支部会員はもとより他の支部からも積極的な参加をお願いいたします。会員各位、運営委員各位におかれましては、今後の関西支部での積極的な活動、ご支援、ご協力を賜りたく何卒よろしくお願い申し上げます。

阪部　周二